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現代朗読協会では、教育現場での活動に積極的に取り組んでいます。大から小まで、公演・指導(朗読授業)のご希望をお気軽にお寄せください。
地域性を生かした内容、授業などに関連を持たせた内容など、ご要望のテーマにそのつどあわせた作品を制作することができます。 世田谷文学館 移動文学館共催朗読パフォーマンス「Kenji」
世田谷区立東深沢中学校で実施された世田谷文学館の移動文学館企画「宮沢賢治幻想紀行」の特別プログラムとして、現代朗読協会による朗読パフォーマンス「Kenji」がおこなわれました。
観覧したのは中学1年生約70名、および一部の教師、保護者のみなさんです。
実施日 : 2008(平成20)年9月26日(金)6時間目場所 : 世田谷区立東深沢中学校 音楽室 脚本/演出/音楽 : 水城雄 出演 : 伊藤さやか(歌/ほか)、網野隆(朗読、以下おなじ)、野々宮卯妙、春日玲、澤田雅世 使用作品 これらの作品をコラージュしたオリジナル脚本を使用 作 宮沢賢治 1. 雨ニモ負ケズ(全編) 2. 風の又三郎(冒頭部分)
3. 星めぐりの歌(全編)4. 銀河鉄道の夜(抜粋) 5. マグノリアの木(抜粋) 6. 春と修羅(冒頭部分) 7. よだかの星(最終部分) ■生徒のみなさんへ
みなさんはご存知でしょうか。宮沢賢治という人にも、みなさんとおなじ年齢の頃があったということを。 そんなこと、あたりまえだろ。なにいってんだ。まあ、そういわないでください。実は案外、そのことを忘れてしまっている大人が多いのです。 そもそも、自分自身が13歳、14歳の頃があって、そのときにどんな人間だったのか、どんなことを考 えていたのか、すっかり忘れてしまっている人が実に多いのです。
そういう私だってそうなんです。だから、あわてて時々、一生懸命に思い出そうとします。賢治にもみなさんとおなじ年齢のときがありました。そのとき、彼はどんな人だったのでしょう。 だれにもわかりません。だってだれも知らないんですから。ここにいるだれも、ひとりとして賢治に 会ったことのある者はいません。 しかし、すばらしいことに、賢治は私たちに作品という形でメッセージを残してくれました。賢治の
身体のなかにあったたくさんの豊かな言葉を、文章、詩、小説という形で残したのです。それをいま、私たちは読むことができます。
本当のところ、賢治がどういう人だったのか、なにを考えていたのかはわかりません。でも、彼の身体から出てきた言葉には直接触れることができます。その言葉を私たちは耳で聴き、身体で感じることで、賢治そ のものにふたたび触れることができるような気がします。
さて、13歳のときの賢治はどんな人だったのでしょう。私たちは、ひとりの人間のなかにはさまざまな思いとか、色とか、感情とか、あるいはときには「別人」があることを思いださなければなりません。賢治のなかにもさまざまなものが渦巻いていたのでしょう。美しい言葉ばかりではなく、感動的な物語ばかりでなく、ときには醜い憎悪や底知れぬ悲しみや絶望の言葉が渦巻いていたと思います。 私たちもおなじです。 どんな人も「この人はこうだ」と決めつけるわけにはいかないさまざまな側面、内面を持っています。そのことを忘れないでほしいのです。
今日の朗読プログラムでは、宮沢賢治のさまざまな側面と内面が見え隠れすると思います。また同時に、私たち演者の心と身体もそこに加わります。そして皆さんの心のざわめきもそれに同調したり反発したりするかもしれません。心が動くこと。それを感じてください。そしてできれば、表現してみてください。賢治のように。 どういう形でもいいのです。日記に書いてみるのでもいい、友だちに話してみるのでもいい、ケータ イでメールしてみるのもいい、私に手紙を書いてくれるのでもいい(そんなことが起こったら私はとてもうれしくて飛びあがりそうになるでしょうね)、お母さんにおいしいものを作ってあげるのでもいい。表現するというのは、
どんなことでもいいのです。自分の心が動いているということを外に向かって知らせることが表現です。それが、生きている証拠です。 みなさんが大人になったとき、今日のこの日のことや、いまの年頃のことをいつも思いだせるような人になってくれるといいなと、私は思います。 (演出:水城雄)
「Kenji」抜粋映像(YouTube)↑画面上をクリックしてください ■生徒の感想から ・ 最初はふつうに詩や物語を読むのかと思っていたけど実際はぜんぜんちがってこれまでに聞いたこと のないふしぎな詩の読み方ですごかったです。みんなばらばらに読んでいるのに1つの大きなかたまりのように聞こえたり、大きな声で堂々と読んでいるのが良かったです。感情もこもっていて話に入り込みやすかったです。最後まで集中して聞くことができました。とても楽しかったです。 ・ 一人一人の声がはっきりとしていて見ていて感動しました。いくつかの詩や小説が、大きな一つのまとまりとなり迫力がありました。もう一つの雨ニモマケズを見たような感じです。 ・ はじめに考えていた想像とは全くちがい、人の心を動かすことのできる朗読だったと思います。僕はもう一度聞きたいと思います。 ・ すごく感情をこめて真剣に読んでいました。みなさん(4人)全員で言う所はみなさんの息がピッタリ合っていて、すごく聞きやすかったです。宮沢賢治さんの伝えたいことがなんとなくですが分かった(伝わった)と思います。宮沢賢治さんの伝えたいことを朗読を通して現代の中学生や小学生など子どもに伝えるというのはすごいことだと思います。 ・ 歌を歌ってくださった人の歌声はとてもすんでいてキレイで聞きやすくて心にじ〜ん(ひびき)と来ました☆ ・ 朗読は小学校の頃もよく宿題として出されていましたが当時あまり好きではありませんでした。でも今回の朗読プログラムを終えて、ちょっと好きになりました! ・ 一番最初の叫び声はびっくりしましたが、その後聞いていると宮沢賢治の世界がよくわかるような朗読プログラムでした。途中で眠くなるようなこともありましたが、朗読プログラムの迫力で目がさめました。朗読プログラムの中にも色々と工夫がされていたのでよかったです。ぼくはこの朗読プログラムを見たことで宮沢賢治のことをもっと知りたくなりました。 ・ 朗読プログラムは、とても迫力があってよかったです。私が一番気に入った所は最後の「よだかの星」です。ピアノの伴奏と共に表現を付け、微妙な動きで朗読をしていたからです。マイクを使って同じ歌を何回も繰り返している場も特に気に入りました。伴奏には異音が入っていて何とも言えない不思議な歌……また聴かせて下さい。今でもあの真夜中にかすかに聞こえそうなメロディーが心の中に残っています。美しい音色をありがとうございます。 ・ ぼくが一番印象に残ったのは、星めぐりの歌です。歌った人の声や歌詞がとてもきれいで、まるで星空を見上げているかのような気分になれました。次に印象に残ったのは、声のメリハリです。静かなところは小さく、激しいところは大きくて、ぼくがやっているような棒読みな朗読とはまるでちがい、とてもメリハリがあり、ただでさえ良い詩がさらにきれいに聞こえました。この朗読プログラムを聞いて、宮沢賢治のことをもっともっと知りたいと思うようになりました。 ・ 今まであまり興味がなかった、宮沢賢治の作品をたくさん知ることができ、よかったです。また、朗読がすごく迫力があり、初めビックリしました。どれもおもしろく、とても興味をもちました。すごかったです。 ・ 印象に残ったことは、ピアノの音や、声に、とても迫力があったことです。一番最初に「賢治ー!!」とさけんだ時は、本当にびっくりしました。また、物語の進み方によってピアノに強弱をつけたりするのが上手だなぁと思いました。 ・ みなさんがやってくださった朗読はものすごく心がこもっていて、すごく心に残っています。はじまった時にいきなり「賢治」と言った時にはすごくびっくりしました。歌を歌ってくださった方の声もきれいでしたし、ピアノの曲もその時その時にピッタリの曲がとてもすてきでした。また来てくださることを心から願います。 ・ 朗読の言い方でその場のふんいきをすごく上手に表現できてたのは、さすがプロだなと思いました。まるで本物の劇を見てるんだなとそういう感じがしたのもプロだなと思いました。ぼくは、どのくらい練習したのかなと思いました。またこういうものを見てみたいなと思いました。 ・ 大声と小さな声を分けて言ったりとかをしていたので、かっこいいと思いました。あと、ピアノもその時の情景や天気を表していて、朗読の人達とあっていたのですごいと思います。 ・ すごい迫力があると思いました。特に風の又三郎のところが『グワッ』と風が本当に迫って来るみたいでかっこ良かったです。途中で歌が入ってくるのも、構成が凄いなあと思いました。 ・ 「雨ニモ負ケズ」と「風の又三郎」の詩が混ざり合っていた部分が私は好きです。他の作品の朗読も、すごく素敵でした。星めぐりの歌も好きです。ありがとうございました。 ・ とても迫力があり、素晴しかったです。みなさんの言うこと1つ1つに心がこもっていたので、聞く方もその物語にひきこまれるかんじでした。私が特に心にひびいたのは、「よだかの星」の最後でした。聞いているこっちの方が悲しくて泣きそうになりました。ピアノを弾いてくださった方も、その場その場で曲がかわる度にふんいきがでて、ワクワクしたり、どうなるんだろうと思ったり、気持ちが変わっていきました。 ・ 朗読していた方々が1つになって読んでたのを見て、とてもあこがれました。 ・ 最初から最後まで迫力のあるまま終わっているところがとてもよかったし、どこで話が始まって、どこで次の話にうつっているのかがわからないところもとてもよかったなと思いました。歌声がきれいでおどろきました。 (1年生 70名の感想から抜粋しました)
■演出家の日記より ○8月18日 ……………… 読み合わせてみるとよくわかるのだが、けっこうややこしい出入りのある朗読シナリオとしては異例のものになっている。が、リハーサルは3回のみの予定。最小限のきっかけを確認しつつ、あとはそれぞれのオリジナリティと即興性をなるべく生かしたい。生きた表現を中学生たちの前でおこないたい。何度もくりかえし練習しすぎて、固定された死んだ表現になってしまったものを持っていってもしようがない。 ただし、即興的に反応するための訓練はしっかりやる。何度読んでもおなじように読むための練習は一切しない。逆に、何度読んでもそのつど変化していくための練習をやる。 ○9月11日 ……………… 夕方、東深沢中学校の朗読公演「Kenji」のリハーサル、2回め。中学生たちには意味・言葉だけで伝えようとしても見抜かれてしまう。こちらも全身・全存在をぶつける覚悟でやるのだ。 ○9月26日 ……………… 午後、明日の東深沢中学校での朗読公演「Kenji」の3回めにして最後のリハーサル。セリフ交換のところを、重点的に演出する。かなりよくなった。言葉が急に実体化してきて、手触りが生まれた。これこれ、この感じ。 全体を通してやってみる。ピアノ演奏の入れ方に気をつけ、説明的パターンに陥らないようにやってみる。 終わってから、メンバーとこのパフォーマンスの意味(あるいは無意味・非言語的表現)についていろいろと話す。明日の本番が楽しみになってきた。明日は天気が悪くなるらしい。 ○9月26日 ……………… 曇。風があって、生暖かい。午後から雨になるらしい。 スタジオへ。今日は東深沢中学校での朗読公演「Kenji」の本番。朝からスタジオに行き、まず機材の準備。多くの機材は使わないが、歌が入るので、そのためのマイク周りの機材をいくらか。それと記録用ビデオカメラ、三脚など。 11時前、出演者がそろう。網野隆さん、伊藤さやか、野々宮卯妙、春日玲、澤田雅世。スチール撮影としてカメラマンの三木義一くんも来てくれる。ざっとポイントを押さえながら、進行の確認。 現地で世田谷文学館の根岸さんと合流。玄関先に置かれた宮沢賢治の展示パネルをちょっと見てから、会場の音楽室へ。場あたりをしたり、機材のセッティングをしたり。気温が蒸し暑く、エアコンをいれなければ蒸し風呂状態になりそうだが、音が大きいので、朗読には不向き。いつものジレンマ。 いったん別の教室に控え、軽く昼食。時間的にけっこう余裕があってよかった。 出番の6時間目となり、ふたたび音楽教室へ。一学年の生徒全員70名が集まって、床座りになった。最初に国語の先生の説明があり、生徒たちによる「雨ニモ負ケズ」の群読があり、文学館の根岸さんのガイダンスがあり、そして我々の出番となる。 おもむろに出て、すぐに始める。私はピアノへ。30分のプログラム。生徒たちは目を輝かせ、騒ぐこともなく、静かに食いいるように最後まで見て(聴いて)くれた。賢治の作品をコラージュしたストーリー性のない前衛的な内容だったが、だれも飽きずに集中して見てくれたのはうれしかった。終わってからも大きな拍手をもらった。先生がたからもよい反応をいただいた。根岸さんも喜んでくれたようだ。まずは成功でよかった。 |

