…コンテンポラリーな朗読のための必要最低限の基礎技術を学ぶ6回講座
「朗読者」としてリスナーに伝えること……それは文章の意味や作者の意図といったものなのでしょうか? そんなことを考えはじめたあなたは、すでに芸術表現としての朗読を求める一歩を踏み出しています。
優れた技術を備えたナレーターやアナウンサーが優れた朗読者かといえば、必ずしもそうではありません。おなじく、優れた表現力や声を備えた俳優であっても、直ちに素晴らしい朗読ができるわけではありません。
では朗読とは何なのかという問いかけに、表現者は、自分自身で答えていかなくてはなりません。同時に、自分自身の中に無意識に築いてしまったジャンル分けやこだわり、思い込みを超えることが、なによりコンテンポラリーな朗読表現には必要になります。
当講座では、趣味やお稽古事としてではなく、朗読者として本格的な表現活動をおこないたいと考えている方たちを対象に、必要な技術や表現力についての実践的なトレーニング方法の習得とプラクティスをおこなっていきます。
指導には朗読演出家・小説家・音楽家である
水城雄
をはじめ、プロのナレーターやすでにオーディオブック朗読者として活躍中の朗読家らがあたります。
募集要項
開催日時
2008年12月19、26、2009年1月9、16、23、30日 毎週金曜・全6回/19〜21時
申込方法
オンライン受付
または
受付窓口
宛てメールで参加申込をしてください。
申込メールに記載する内容:
@ワークショップ名Aお名前Bご住所C連絡先電話番号D所属/経歴(簡単で可)E年齢
会場
現代朗読協会(ドルチェスタジオ)
(世田谷区/小田急線豪徳寺駅徒歩3分)
受講費
正会員 25,000円/一般・準会員 30,000円 (全6回・前納)
定員
10名(先着順)
講師日記より
講座のようすの一端を、講師(水城)のブログからお伝えします(参加者の感想は
こちら
)。
○月○日/講師メッセージ
基礎クラスを含め現代朗読協会の朗読講座・ワークショップは、つねにカリキュラムがダイナミックに変化しつづけています。
もともと現代朗読協会では、発声・日本語発音などについての専門的ノウハウの蓄積がなく、いわば借り物ともいえる他の声優学校や朗読教室、演劇ワークショップなどでおこなわれているプラクティスを利用していました。幸い、協会にはさまざまな人たちが集結し、そういったノウハウもたくさん集まってきたのです。しかし、それを客観的に観察しつづけていた水城には、いつもどこか「違和感」がつきまとっていました。
いずれのプラクティスも客観性・論理性に乏しく、ほとんどが「実演者による経験によって獲得されてきた個人的ノウハウ」であるか「伝統的にずっとそうやることが習慣とされてきた盲目的に古いノウハウ」であるように見えたのです。
そこで私は、自分が受けていたアレクサンダー・テクニーク・ワークショップでの経験や、解剖学的・生理学的知識の独学を元にしての、独自の発声法を考えつづけていました。
結論からいえば、あるひとつのプラクティスを参加者に与えたとき、身体的レスポンスや反応、効果は、「全員が異なっている」という事実を直視して、「差異」を認識して自分の発声を「客観的にとらえる」ためのノウハウを作るための方法にたどりついたのです。
文章で説明するのはやっかいですが、この方法はたくさんのプラクティスの積み重ねで構成されています。参加者各人がプラクティスを通じて、他の人と自分自身の注意深い観察を重ね、結果的に自分自身のフィジックを客観的に把握することを目的としています。
今回はそれを試してみたわけですが、それが相当有効な方法であることを確信しました。まさに、すべての人のオリジナリティを最優先する現代朗読の方法とぴったりと合致したように思います。
この方法はだれにでも試すことができると同時に、すべての人に違った結果が生まれるという特徴を持っています。私および現代朗読協会という場に限らず、朗読表現を生き生きとさせるための壁にぶちあたってしまっている多くの方に試してもらいたい方法だと思います。
○月○日/2日目
基礎講座の第二回。まだ発声・発音・呼吸などの基礎部分と素読みの段階。いろんな立場の人が参加していてバラエティ豊かだ。
○月○日/4日目
基礎講座全6回のうちの第4回。仕事などの都合で来
れない人が3人もいて、やや寂しい人数だったが、内容は充実していた。野々宮が講師をつとめて夏目漱石の短編をことこまかに読みといていく作業で、熱心な意見交換があったりして興味深かった。本当は今日、ディープリスニング体験をみなさんにしてもらう予定だったのだが、「柿」の読みこみが深まったので中断するのがもったいなく、来週に回すことにした。
基礎講座は朗読経験のほとんどない方ばかりの参加なのだが、みなさん短い期間に驚くほどの上達を見せることが多いので、毎回楽しみだ。先行している先輩朗読者たちもうかうかしていられないんじゃないだろうか。
おもしろい朗読には特別な技術や才能など必要ない、というのが持論。熱意と作品に対するオリジナルなアプローチが大切だ。
○月○日/5日目
いろいろな都合で来れなかった参加者が何人かいたり、遅れてくる人がいたりして、急遽やりかたを変更して、ほとんどマンツーマンに近い朗読演出方式でやることにした。つまり、ひとりに読んでもらって、それにたいして逐一、逐時的に演出をこまかくかけていく方式だ。「朗読演出」というものになじみのない参加者は、こういう方式があるのかとびっくりしたようだった。が、現代朗読協会ではほぼ日常的にやっている方法だ。
ディープリスニングも実施する。聴覚覚醒プログラムを体験してもらう。
○月○日/6日目(最終日)
基礎講座の最終回。今日は総まとめとして、最初に発声をやったあと、ひとりずつ作品全編を読んでもらった。そのあと、合評。そして、私から演出的アドバイスをひとりひとりにおこなう。
いつものことだが、それぞれの個性が出てきていて楽しい。おなじ作品をやっていても、全員まったく違う仕上がりになるのがおもしろい。そうじゃなきゃやってる意味がないけれど。
最後に野々宮卯妙と「コンテンポラリーアートとしての朗読」という考えを理解してもらうために、即興で短いパフォーマンスを披露した。それをめぐって話が盛り上がり、終了時間が大幅にのびてしまった。
○月○日/1日目
基礎クラスの今期初日。遅れて来る人が何人かいたのだが、その前に時間通りに来た人にスペシャルサービスとして、いつもは基礎ではやらない体験プラクティスをやってもらう。そのうち参加者がそろい、いつもの講座がスタートする。今日の講師は斉藤亜実で、フィジカルや呼吸、発声が中心。
○月○日/2日目
夜は基礎クラスの今期第2回め。
斉藤亜実と野々宮卯妙が講師。今日は身体ほぐしから呼吸、発声、日本語発音の基礎的ルールの確認などをやった。
○月○日/4日目
今日は野々宮卯妙が講師になって、研究クラスのような内容のものをテキストを使って進めていく。後半、水城が参加して、ディープリスニングのプラクティスの一部を体験してもらった。昨日の実践コースでもおなじようなことをやったのだが、今日もおもしろかった。参加者の意識が劇的に変化するのが手に取るようにわかる。そのあとの読みがおもしろいほど変わっていく。
○月○日/5日目
基礎クラスの第5回め。水城担当。
テキスト読みの合間に、ディープリスニングのプラクティスを挿入してみた。また、朗読表現についてのアドバイスを入れながら、読んでいってもらう。たった2時間だが、参加者の読みが見るみる、おもしろいように変わっていく。表現力がつくと、テキストより朗読者自身の姿が前に出て、見えてくる。それぞれの個性が楽しい。
○月○日/6日目
基礎クラスの今期最終日。今回もディープリスニングのプラクティスのひとつから始める。まずは耳をリフレッシュしてもらって、自分の読みも人の読みもくっきりと注意を向けられるようにするために。
最終日ということで、全員に作品発表をやってもらった。全員が見違えるほどの上達ぶり。そして、うまくなったといっても、いわゆる模範朗読といううまさではなく、みずからの個性を生かす読みができるようになったという意味で、聞いていても実に楽しい。
唯一の男性参加者のKくんは、なんとコンテンポラリー朗読に挑戦してきた。ほとんど前衛的な読みにびっくりするやら、笑いをこらえるので大変やら。けっして笑わせるような作品ではないのだが。
朗読表現の無限の自由さを知ってもらえればよかったと思う。
○月○日/1日目
あらたなクールの基礎クラスがスタートしました。当然、参加者は全員、初参加の人ばかり。今回はちょっと少なくて4人です。が、ちょっと珍しいことに、半分が(つまり2人が)男性なんですね。ワークショップ参加者はどの枠もほとんど女性のほうが圧倒的に多いんです。それがなにを意味しているのかわかりませんが。
なかでも、プロカメラマンのアシスタントをしているというMくんは異色。写真をやるために朗読のワークショップを受けてみようというその姿勢が、奇妙というか、斬新というか、大胆というか。水城は大好きですけどね、そういう人。
ほかの3人は声優や俳優の養成所経験者。今回はだいたい年齢が30歳前後でそろって、バラつきがありません。これも珍しいことです。
○月○日/2日目
基礎クラスの2回め。
まずは、身体を傷めないストレッチの方法を、アレクサンダー・テクニークの方法で。そのあと、発声をやり、聴覚覚醒プログラム「ディープリスニング」のプラクティスのいくつかをやり、ちょっとだけ座学。朗読や音楽と、美術や文学との違いとか。
後半は野々宮卯妙と交代して、テキストの扱い方について基本的なことをみっちりやってもらう。
○月○日/3日目
基礎クラスの3回め。
ディープリスニングのプラクティスをひとつやってから、課題テキストの深い読みこみ作業。みんな少しずつ眼の色が変わってきた。
○月○日/4日目
基礎クラスの4回め。発声をやったあと、日本語の発音、言葉の輪郭など、細かい技術的なことを重点的にやる。
○月○日/5日目
基礎クラスの第5回。今回は、前回までにやった日本語の基礎的発音やテキスト読解を踏まえながら、ベーシックな読みの確認。
そのあと、ピアノの音という外的刺激を使った「リアルタイムに反応して変化していく朗読表現」のプラクティス。朗読表現はコミュニケーションの一種であるということの講義。ピアノがなくても、テキスト対朗読者、朗読者対リスナー、朗読者を取り巻く環境、朗読者の身体的・精神的コンディションなど、さまざまな刺激を認識し、それらに誠実にリアルタイムに反応していける朗読の必要性を説明する。本来は基礎講座でやるようなことではない高度な内容に触れたものだったが、今回の参加者は皆若くて柔軟なので遠慮なくやってみた。
○月○日/6日目(最終日)
基礎クラスの今期最終日。
最終発表を各自におこなってもらう。現代朗読協会の講座の毎回の特徴だが、全員、まったく違った作品に仕上がってきていて、それぞれ自分の個性を打ち出した朗読を工夫してくれていた。それぞれ非常にフレッシュな、従来にないようなあたらしい読みに仕上がって、うれしい限りだ。
なかには椅子を持参して自分のオリジナリティを試行、工夫する者もいたり、ほとんど前衛的といえるほどの変化をつけた朗読を聴かせてくれたり、もちろん未完成ながらもみんな生き生きとした表現でとても楽しかった。
最後には初回で講師として参加してくれた岩崎さとこも駆けつけてくれて、みんなで打ち上げ。終電間際まで話が盛り上がって、ついさきほど解散したばかり。
このメンバーでYouBunkoを撮影しようということになった。
参加者の声
基礎クラスに参加した方のアンケートから、一部を紹介します。
■声の出し方など、体を使う為の具体的な練習方法がわかりやすかったです。自分の声や読み方が変化していくのがわかり、とても楽しかったです。「聞く」ということについての意識も変わりました(ディープリスニング等)。
■声の出し方を勉強できたのがよかった。発声の練習もこれから続けていきたいと思います。また朗読の技法ややり方など色々あるんだなと楽しかったです。
■他の人の朗読とそれに対する先生のコメントが参考になった。
後、自分の朗読の感想をきく機会がなかったので、どう伝わっているかよく分かった。
■まじめに朗読する場かと思っていたので、くずした朗読を受け入れてもらえてよかった。
■(受講しておもしかった・ためになったこと)作品の読みこみ方。ディープリスニング。普段からできる呼吸法など。他の人の表現。
■「読み」が人によって全く違うのに驚いた。同じ文章から異なるイメージが生まれるのは、読者の生い立ち、生活環境、その時の体調も関係あるのだろうか。朗読というものが、その人の持っているもの(歴史・感覚・身体……)をふるわせて行なうものだという、その原泉に触れた気がした。あとは単純に、自分に基礎的な歴史認識がないなぁと。ニュートラルな立ち位置を知ってから深読みするならまだしも、自分は割合突拍子もないことばかり考えていたような……
■夏目漱石ってあまりおもしろいと思った事はないですが、それは自分に読解力が無いせいだという事が判りました。自分がイメージして声のトーンで表現したのに聴く人には全然伝わらなくてショックです……。これも多分、雰囲気だけ(うわっつらだけ)で読んだせいなのかも……。それと明治時代の生活ってTVドラマで見たイメージしかなく、知識のなさすぎにもショックです。朗読、演劇、音楽が時間芸術っておもしろいですね。
■呼吸が、続けると少し息苦しさを感じました。「声」が夏目さんだと気づかなかった所を見ると、自分は本を読んでいるようで読んでないのかもしれないと思った。自分の想像を朗読で聞き手に伝わらないのが、もどかしい。もっと知りたい(作者や作品について)と強く思った2時間でした。次回はもっと伝わればいいなぁ……。
■確かに難しい文章ですが、色々なイメージをふくらませれば、読みやすくなったのは実感できました(最初の4行)。今はまだイメージがあいまいですが、どこまで変わるか楽しみではあります。