ミニマル・ロードクと、人間のエチュード

ゼミ生の方が、クラシックTV「巨匠 テリー・ライリー降臨! 〜変わり続ける音〜」を見て「げろきょ(現代朗読協会)の手法ですね」と教えてくれました。

番組では現代音楽の巨匠テリー・ライリーの「in C」を10名の音楽家たちがスタジオで演奏。

この曲、譜面1枚(+指示書)に53のメロディー、演奏すると30分〜とのこと。

何度演奏されたとしても決して同じにはならず、それぞれの演奏者の存在があってこその表現で、延々と聞いていられます。

現代朗読協会の「Kids in the dark 2013 夏と私」のシナリオはA4一枚、15ぐらいのエチュードで80分ぐらいでしょうか、ミニマル・ミュージックの手法での朗読公演でした。

衣装も決めず、みな思い思い好きな服を着て、笑いながら、その瞬間好きなように動いて、ステージで“遊んで”いました。あれは、「現代」朗読の真骨頂だったかもしれません。

水城ゆう(現代朗読協会ファウンダー)はそんなアイディアを次々と出していました。その実験精神はいまも健在です。

今の朗読ゼミでは、偶然生まれたアイディアをみんなで試してエチュードへ昇華しています。

先の「Kids in the dark 2013 夏と私」でやった「3拍子×4拍子」は、その後さまざまなテキストでおこなううちに、自分の癖を手放す定番エチュードとなりました。

また、フリー・リレー朗読のエチュードから発展した「シャドーイング」は、「エゴを手放す」トレーニングのための重要エチュードとなっています。

そして今日も……!

「『トロッコ』を『コロッケ』と読んでみたら?」というギャグのようなアイディアから、音の読み替え遊びを加えていったところ、「頭の中が発火したかんじ!」「即興と集中のトレーニングになってるかも!?」という気づきがあり、新たなエチュードとして練っていくことになりました。

現代朗読とは万人に開かれた声とからだの表現ですが、そこから生まれるエチュードは、表現のためだけにとどまらない、“人間の可能性を広げるエチュード”になっています。

本当にそうかどうかは、「やってみないとわからない」。

そんな現代朗読を、あなたも“遊び”に来ませんか?

 

NHK クラシックTV「巨匠 テリー・ライリー降臨! 〜変わり続ける音〜」
(初回放送日NHK教育テレビジョン2023年6月15日(木)午後9:00/配信期限

現代音楽の巨匠テリー・ライリー。クラシックからポップスまで20世紀の音楽に大きな影響を与えた作曲家本人がスタジオに登場!▼1960年代、世界に多大な影響を与えた「ミニマル・ミュージック」の魅力をテリーさん自身の演奏で解説!▼坂本龍一や久石譲も影響を受けたという名曲を本人ライブでお届け!▼代表作「In C」は清塚信也をはじめ、蓮沼執太・梅津和時など豪華メンバーが参加。不思議な音世界に誘います。

 

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