現代朗読のレイヤー構造

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ゲロキょ現代朗読は表現行為のひとつだが、表現の場だけでなく生活や仕事の場面にまで広範囲に影響をもたらす。
現代朗読にかぎらず、表現行為というものは本質的に自分自身との対峙であり、生命活動の発露である。
表現の場でのみイキイキして、日常生活ではどんよりしている、というのはおかしいし、無理がある。
日常生活がイキイキとマインドフルであれば、そこに多くの気づきや生命力の発露があり、それが表現に結びついてくる、というのが自然なことだろう。

現代朗読では小手先の技術を追いかけることはなく、自分の身体性を含むありようそのものを緻密に感じ、自分がどのように表現したがっているかを見ていく。
これは口でいうのはたやすいが、実際にやってみると雲をつかむような話だ。
あらかじめこう読もう、こんな感じで読もう、この部分はこのように調子を変え、あるいはこの言葉はしっかりとハイライトをつけて、などとたくさん準備して読むのはたやすい。
何度も練習し、そのとおりに読めばいい。
それはいわば過去の自分に指示され、支配された朗読であって、いまここの生きた自分の表現とはほど遠い。
現代朗読では、いまこの瞬間の自分自身がどのような状態であり、どのように表現したがっているのか、それをつかまえようとする。
やってみればわかるが、まったくたよりない話だ。

私たち現代人は自分の身体について頭で規定することばかりやっているので、本来身体がどのように動きたがっているのか、どんな声を出したがっているのか、いまどんな状態なのかを見るのがとてもへただ。
へたというより、ほとんど不可能に近いといっていい。
自分の身体の声に耳をすます。
自分自身のいまこの瞬間のありようを感じる。
自分がなにを感じ、どのように動きたがっているのか、表現したがっているのか、かすかな声を聞きとる。

声が聞こえたら、その声の方角にただ無心に一歩を踏みだしてみる。
すると自分がどのように読みたがっていたのか、初めてわかるのだ。
このような自分自身との付き合い方を、現代朗読では深く、緻密に練習していく。

いきなりうまくやれる人もいれば、なかなか身体の声が聞こえない人もいる。
いつまでたってもたくらみの蓄積(過去の声)からのがれられない人もいれば、自由闊達にやれてしまう人もいる。
自分がこれまで積み上げてきた技術の蓄積を手放すのがこわくて、どうしてもそこから離れられない人もいる。
いろいろなレベルがある。

レベルというのは人と比較して自分が上とか下とかいうことではない。
自分自身のなかで自分の本質を見る目がどれだけ育っているか、感受の力がどれだけ生まれているか、という自分のなかでのレベルの話だ。
入門レベルではほとんど自分の声を聴くこともできないだろうが、注目をどちらに向ければいいかは示されている。
ただひたすら、自分の内側に注目していく。
たくらみをすて、なにもかんがえずにただ歩きだすだけの練習をする。
これだけでも朗読はうんと変わるし、また日常生活でもさまざまなものごとの見え方が大きく変わってくるだろう。

かすかに自分の身体の声が感受できるようになってくると、それと同時に自分のまわりの情報も自分のなかに流れこんでくるようになる。
環境におうじて自分の身体が変化し、それにつれて朗読も自由に変化するようになる。
音楽と共演しながら、あるいは群読で仲間と合わせながら、イキイキと表現できるようになってくる。
日常生活や仕事の場面でも、周辺のことにより気づき、多くの情報を無意識に処理できるようになる。
この感覚が深まった状態を「フロー」と呼ぶこともある。

さらに感受と集中がすすめば、自分の身体のメッセージを越えて表現を大胆に前に踏みだし、仕掛けていくこともできる。
ある設定や演出のなかに自分をおき、そこで自分がどのようにふるまうかを楽しめるようになる。
自分の身体の声が完全に聴けるばかりでなく、自分がおこなっていることに完全に集中しつつ、まわりで起こっていることもすべて感受できている状態がつづく。
これは完全なマインドフルネスの持続がなければおこなうことはできない。
これが現代朗読がめざす最高レベルの状態だが、だれもがそこをめざす必要はないし、それぞれのレベルでとどまりリラックスして楽しむことを選んでもいい。

このように現代朗読はさまざまなレベルとしてレイヤー構造を持っていて、朗読者は自分がどこをめざすのか、いまどのレイヤーにいるのか、どのレイヤーで楽しみたいのか、選択肢を持っている。
そしてそれぞれのレイヤーで共通している基礎的なトレーニングがある。
どのレベルの朗読者もおなじトレーニングを楽しんだり、自分を深めたりできるようになっている。

最高難易度の表現行為をめざすこともできるが、日常生活にとけこんだようなリラックスした表現を楽しむこともできるのが、現代朗読の特徴である。

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