もうすぐ音楽祭「梅ヶ丘THE生エンタ」

ライブ・公演がつづいている。
次の日曜日は「梅ヶ丘THE生エンタ」、翌月曜日は「沈黙の朗読」の二本立て。

「梅ヶ丘THE生エンタ」は去年も出演した。
去年は梅ヶ丘駅南側にある〈テイク・ファイブ〉が会場だった。
今年は北口のほうのレストラン〈GILLIA〉が会場。
私たち現代朗読協会(げろきょ)は、22日(日)の15時と16時の2回、ライブ出演の機会をもらっている。

二日間にわたって地元で開催される梅丘の音楽祭で、1,500円のパスポートでどのライブも見放題。
げろきょは翌日「沈黙の朗読」公演があるので22日しか出られないが、23日も個性的なユニットがあれこれ出ているようで、興味のある方はぜひのぞいてみてほしい。
23日は梅丘から明大前に移動して、「沈黙の朗読」をぜひどうぞ。

出演者と演目紹介(現時点での予定)。
宮本菜穂子。夢野久作の「田舎の事件」からみじかいものを読む予定。
福豆々子。この人は地元民。国木田独歩の「武蔵野」から抜粋して読む予定。
植森ケイ。吉田兼好の「徒然草」から抜粋して読む予定。
山田みぞれ。中谷宇吉郎のエッセイ「イグアノドン」を読む予定。
てんトコロ。中島敦の「かめれおん日記」から抜粋して読む予定。
野々宮卯妙は「日本国憲法」の前文から水城ゆうの「鳥の歌」へとつづけて読む予定。
最後は野々宮による憲法の九条から、全員参加での「祈る人」を現代朗読のフリースタイルで読んで、これでおそらく時間いっぱい。

コミカルなものからシリアスなものまで、音楽ライブのように楽しめる現代朗読ライブを、気軽に観に来てください。
梅ヶ丘THE生エンタの詳細はこちら

法然院ライブ当日パンフ原稿

東日本大震災から二年半、東京にいるとまだまだ震災の余韻や傷跡を色濃く感じることが多い。げんに事故原発は蓋をあけたままであり、放射性物質の問題も看過できない。京都にやってくるとおだやかな空気感にほっとするような気がする。
 私は学生時代をふくめ足かけ八年ばかり京都に住んでいたことがあり、まさに青春の地といっていい。住んでいたのもこの東山界隈を中心にずっと左京区内だった。ここから近くでは岡崎や出町柳、一乗寺にも住んでいたことがある。もちろん法然院界隈で遊んだり、歩きまわったりしたこともある。そんな思い出深い場所に、いま現在おこなっている現代朗読と即興音楽でふたたびつながることができるということに、かぎりない喜びを覚えている。
 今回、京都在住の琵琶奏者・片山旭星さんをお迎えすることができたことも喜びのひとつだ。そもそも、これまで何度も法然院で演奏の機会を持たれている旭星さんがいなければ、この公演も実現しなかっただろう。
 琵琶、現代朗読、そしてシンセサイザーという現代楽器によるセッション。即興性を重視しているユニットが、法然院という空間と、彼岸すぎの夕刻という時間と、おこしいただいたみなさんという関係性のなかで、どのような旅ができるのか。あるいはどのような風景を見ることができるのか。
 そしてどのような祈りをささげることができるのか。
 法然院という祈りの場所において、東北の被災地や、首都圏でおびえと悲しみを抱えて暮らす人々たちにたいし、ひとつの祈りの形として今回の公演をささげたいというのが私の個人的な思いだが、共演のふたりも、そしてみなさんも、たぶんそれを許してくれるのではないかと想像し、演奏をはじめることにする。

台風接近中ですが、ライブの時間には京都方面から遠ざかっているようです。
お近くの方はぜひいらしてください。
法然院ライブの詳細はこちら

作品
「夢十夜 第二夜」夏目漱石
「コップのなかのあなた」水城ゆう
「特殊相対性の女」同

出演
 朗読 野々宮卯妙
 琵琶 片山旭星
 シンセサイザー 水城ゆう

主催
 法然院サンガ
協力
 現代朗読協会

「沈黙の朗読」当日パンフの原稿

音が聞こえ、途切れる。また音がつづいて、ふたたび途切れる。音が聞こえ、そしてまた止まる。
音はリズムを持っている。それは速くなったり遅くなったり、たしかに生命の脈動を感じさせる。
一定のリズムが聞こえたかと思うと、また止まる。耳をすまして待っていると、またちがったリズムで音が聞こえはじめる。
その音はたしかに人の声だ。
どうやら言葉を発しているようだ。言葉を意味を持ち、文章を構成し、さらには物語を形作っているようだ。しかし、言葉が意味を持つ以前に、それは生きている人の身体から生まれた生命の脈動音そのものといっていい。そして音と音のあいだには休止、すなわち沈黙がある。
生命は歩き、走り、そして立ちどまる。じっと身をひそめる。そしてまた動きだす。

朗読という表現行為に接したとき、たいていの人はまずその意味を聞きとり、文章を頭のなかで再構成し、物語を理解しようとする。
声が音であり、リズムであり、生命現象の表現であることをそのまま受け取ってもらうことは、なかなかむずかしい。
ならば、意味を分断し、理解をわざと邪魔してみるとなにが起こるだろうか。
現代朗読ではさまざまなアプローチで、意味ではなく、朗読者の生命現象そのものを受け取ってもらう工夫を重ねているが、「沈黙の朗読」もそのひとつだ。
朗読にはかならず「沈黙」が存在する。言葉と言葉のあいだには、音楽でいうところの「休符」、音のない時間が存在する。その部分にスポットをあててみるとどうなるだろうか、という発想で2010年にスタートしたのが、沈黙の朗読のシリーズだ。

今回、沈黙の朗読の最初の作品である「記憶が光速を超えるとき」の初演朗読者であった榊原忠美を迎え、再演というよりあらたな構成でお届けすることになった。
「記憶が……」は何度か榊原と上演を重ねてきたが、その間にも現代朗読の野々宮卯妙と「槐多朗読」「特殊相対性の女」などの試みをつづけてきた。その集大成ともいえる今回の「沈黙の朗読」公演である。
「記憶が光速を超えるとき」の榊原忠美に野々宮卯妙がからみ、「特殊相対性の女」の野々宮卯妙に現代朗読の面々がからむという、多層構造になっている。
たった一回きりの公演だが、お楽しみいただければ幸いである。

沈黙の朗読

「記憶が光速を超えるとき」
 作・演出:水城ゆう
 朗読:榊原忠美、野々宮卯妙

「特殊相対性の女」
 作・演出:水城ゆう
 朗読:野々宮卯妙
 群読:山田みぞれ、高崎梓、KAT、唐ひづる、町村千絵

 演奏:水城ゆう
 音響・照明:早川誠司(キッド・アイラック・アート・ホール)

 主催:現代朗読協会
 協力:キッド・アイラック・アート・ホール

詳細とご予約はこちら

沈黙の朗読のあゆみ

◆2010年3月
ライブスペース中野plan-Bにて「沈黙の朗読――記憶が光速を超えるとき」を上演。朗読は榊原忠美と菊地裕貴、演奏・水城ゆう。
◆2010年6月
名古屋市千種文化小劇場にて、朗読・榊原忠美、演奏・水城ゆうと坂野嘉彦で「初恋」を上演。
◆2010年9月
下北沢〈Com.Cafe 音倉〉にて、朗読・野々宮卯妙、演技・石村みか、演奏・水城ゆうで「特殊相対性の女」を上演。
◆2010年12月
愛知県芸術劇場小ホールにて、朗読・榊原忠美、演奏・水城ゆうと坂野嘉彦で「記憶が高速を超えるとき」を、朗読・野々宮卯妙、演技・石村みか、演奏・水城ゆうで「特殊相対性の女」を 上演。
◆2011年10月
名古屋〈あうん〉にて朗読・榊原忠美、演奏・水城ゆうと坂野嘉彦で「記憶が高速を超えるとき」を上演。
◆2011年12月
明大前ブックカフェ〈槐多〉にて、朗読・野々宮卯妙、演奏・水城ゆうで沈黙の朗読「槐多朗読」を上演。以後、現在までに全七回の上演回数を持つ。
◆2013年2月
明大前〈キッド・アイラック・アート・ホール〉にて、朗読・野々宮卯妙、ダンス・金宜伸、演奏・水城ゆうで沈黙の朗読「初恋」を上演。

法然院ライブが近づいてきた

あと一週間、来週の月曜日は京都の法然院でライブをおこなう。
現代朗読の野々宮卯妙に、京都在住の琵琶奏者・片山旭星さんと私がシンセサイザーでからむ。
演目は「特殊相対性の女」の予定。
これはその翌週の明大前〈キッド・アイラック・アート・ホール〉での「沈黙の朗読」でも、これは群読をからめた別の形で上演することになっている。

法然院では時々魅力的なイベントがおこなわれていて、参加してみたいと思っていたのだが、まさか自分たちが出演できるようになるとは思わなかった。
片山さんに紹介していただいて、法然院まで挨拶にうかがったところ、このライブの話がとんとんと決まってしまったのだ。

片山さんとはこれもまたおもしろいご縁である。
野々宮の妹の友人で、いまはげろきょの料理人として時々腕をふるってくれているマリコが、高校生のときから片山旭星さんの追っかけをしていて、東京にも自分の主催で呼びたいということを五年くらい前にいいだした。
豪徳寺の音楽スタジオを活動拠点にしていたので、マリコの計画にげろきょも協力することになり、片山旭星さんを京都からお呼びしたのが最初だ。
それ以来、何度かおいでいただいている。
昨年の秋にも琵琶演奏会を羽根木の家で開催し、終演後の飲み会では楽しい宴会芸を披露してもらったりした。

今回は法然院の方丈の間で、秋の庭をながめながら、暮れゆく日本庭園と寺院建築の光のなかで、朗読と琵琶演奏とシンセサイザーが織りなす音の世界を楽しんでいただこうという趣向だ。
お近くの方、お時間とご都合が許す方は、どうぞゆるりとお越しください。
詳細はこちら

ゼミゼミゼミ

ミンミンゼミの鳴き声がやかましくてお互いの声も聞き取れないほどの晩夏の羽根木の家で、昨日は丸一日、現代朗読ゼミだった。
早朝、未明から雷と豪雨で開催があやぶまれたが、午前9時をすぎると雷雨はおさまり、晴れ間すらのぞく天候に回復してきた。
しかし、やはり交通の心配があったためか、出席予定の何人かが欠席したり、午後に変更したりと、結局朝ゼミにやってきたのはたどるさんひとり。
なんと自転車に乗って涼しい顔でやってきた。
たくましい。

ひとりだったのでゆっくり話を聞くことができた。
げろきょのゼミ生はそれぞれさまざまなニーズがあり、また立場も違うし、朗読表現にたいする気持ちの温度差もある。
ライブを積極的にやりたい人もいるし、ただげろきょに時々参加できるだけで場の安心があるという人もいる。
こういった人のニーズをすべて大切にしたいと私は思っている。

よく、すべての人のニーズを満たすなんて不可能、という発言があるけれど、私はそんなことはないと思っている。
共感的コミュニケーションを用いればそれは可能になる。
なにも精神論を書いているのではない。
コミュニケーションスキルの問題だ。

午後の昼ゼミは4人参加の予定が、ひとり欠席して3人に。
これもまたのんびりやる。

夜ゼミはハングアウトでのネット参加も含めて8人とちょっとにぎやか。
こういうのももちろん楽しい。
本当にさまざまなニーズと個性がある。
しかし、このところの私の方法論は一貫してきているので、どんなケースでもどんと来いという気分だ。
それにしても、すこし学びが進んだゼミ生たちは、ある程度の成功体験をなぞろうとして「たくらみ」がつい表面化してしまい、それが新鮮な表現の驚きにつながらないことが増えてくるので、初心である体認とマインドフルネスにいつも立ちかえるためのエチュードをしっかりやってもらう必要があるかもしれない。
リアルタイム表現はいつもこの瞬間瞬間にあたらしい自分に立ち会える驚きがあることを忘れないようにしたい。
慣れが一番つまらない。

現代朗読協会では現代朗読に興味がある方のために体験講座や基礎コースを用意しているが、スケジュールが合わない方にはゼミの無料見学をいつでも歓迎している。
ご一報の上、見学に来てみてほしい。
見学の申しこみは現代朗読協会事務局「info@roudoku.org」まで。

表現と生きることの自由を得るために「基礎コース」全10回

このところ立てつづけに講座・ワークショップがあり、いろいろな方が私のところにやってきた。
現代朗読の体験講座、音読療法の資格取得講座、共感的コミュニケーションの勉強会やワークショップ、オーディオブックリーダーの講座や個人セッション、演劇と朗読の合同ワークショップなどなど。
いろいろな人がさまざまなニーズを持ってやってくる。
ほとんどが学びのニーズを持ってやってくるのだが、それにこたえるのが私の仕事であり、また喜びでもある。

一見バラバラな内容の講座やワークショップのように見えるが、私のなかではこれらは首尾一貫している。
とくに最近はその一貫性がさらに整い、整理され、迷いがなくなってきている。
すべての講座において力強い確信をもって伝え、学んでもらえているのではないかと感じている。

これらの講座を貫いているのは、「共感」「呼吸・声・身体」「マインドフルネス」というキーワードだ。
自分が自分だと思いこんでいる自我がしがみついている浅はかな企みを捨て、より深い自分自身の自然なありようにすべてを任せていく。
それがすばらしい表現を生みだす。
自分がこうしたい、ああしたいと思っているその欲望は、自分の外側からあたえられ植えつけられたものであることに気づくこと。
そしてすばやくみずからの身体にアクセスし、表現することすべてに全身の細胞で参加してもらうことを妨げないようにする。

現代朗読の方法も日進月歩で進化・深化してきたが、まだまだざっくりしたところがあった。
しかしそれがいま、とても精密な体系になりつつあると感じる。
これを身につけるのは簡単なことではないが、もし身につけられたとき、広々とした自由を見ることになるだろう。
表現の自由とは、生きることの自由と自立・自律を得ることでもある。

今回、それらの方法を体系的に教えるためのカリキュラムを、ある程度整備したいという思いが生まれた。
そこで、これまでにはない全10回という長時間のコースで現代朗読を学んでいただく(私にすればお伝えする)カリキュラムを用意することにした。
それが「現代朗読基礎コース全10回」である。
9月28日スタート、興味のある方はぜひ参加していただきたい。
詳細はこちら

8月のオーディオブック・リーダー養成講座のお知らせ

オーディオブック制作のアイ文庫では、長く聴き継がれるハイクオリティのオーディオブックの制作と、唯一無二の表現者としての読み手の育成をおこなっています。
日程の都合がつかない方は、個人セッションも受け付けていますので、気軽にお問い合わせください。
毎月末におこなっている当講座は、8月のみ9月2日の開催となります。

主催:アイ文庫
協力:現代朗読協会

★次世代オーディオブック・リーダー養成講座
 声優/ナレーター/朗読者のためのステップアップ講座
 申込みはこちら

【概要】
オーディオブックの読みや収録についてのノウハウとトレーニング法を一日で集中講義します。
その後1〜2か月のトレーニング期間をおいて最終収録実習をおこないます。

【詳細】

(1)集中講座
以下の日程で開催される一日集中講義を受講していただきます。
とても居心地のいい世田谷の築78年の古民家で、一日じっくり学んでいただきます。

◎日時 2013年9月2日(月)13:00〜19:00
◎場所 羽根木の家(世田谷区/京王井の頭線新代田駅からゆっくり歩いて4分)
◎受講料 33,000円

※集中講座の日程が合わない方のために、個人セッションも受けつけています。ご都合のよい日時に個別受講が可能です。ご相談ください。

(2)トレーニング

収録用の作品を選び、(1)の内容の習得と(3)にむけての1〜2か月間のトレーニング期間を設けます。
期間中は、メールによる指導と面談(またはスカイプ、希望者のみ)で習得状況をチェックします。質問等も自由です。
理解度や技術レベルによっては現代朗読協会のワークショップに参加していだくこともあります(参加費免除)。

(3)最終収録実習

 アイ文庫のスタジオにて収録実践をおこないます。
 収録後、数日以内に評価結果をご連絡いたします。
 その結果を受けて、

 A) アイ文庫オーディオブックの本収録へと進む
 B) 現代朗読協会での実習を継続(ゼミ生登録)する
 C) 独立して自主制作

 という選択肢をご自分でえらんでいただきます。

【本講座の特徴】
オーディオブックリーダー(朗読者)は、ナレーターでもアナウンサーでもなく、声優でもない、新しい声のジャンルです。
オーディオブックの朗読にチャレンジしてみたいと思っている人が多いなか、その読みや収録についてのノウハウをしっかりとアドバイスしてくれる場所はそう多くありません。
そんななかで、アイ文庫は、今後も長くネットコンテンツとして流通していくに耐えるクオリティを持ったオーディオブックの制作とリーダーの育成にあたっています。
単なる音読コンテンツではなく、「朗読作品」としてのオーディオブックを読める人を育てることが目的です。

文芸朗読、詩曲集、教科書朗読、英語朗読などで業界随一のクオリティと実績を持つアイ文庫のオーディオブック・ディレクターが指導にあたります。
ただ読むだけではない、情報伝達のみにとどまらない、「表現」の域にまで踏みこんだクオリティの高いオーディオブック収録ができるハイレベルなリーダー(朗読者)の育成をめざします。数多くの実践的なノウハウを盛りこんだプログラムで予定しています。

アイ文庫のツイッターも参考にしてください。

サラヴァ東京のオープンマイクイベント、再び

昨日の夜はゼミ生の山田みぞれが出るというので、サラヴァ東京のオープンマイクイベント「ショーケース」にみぞれちゃんのピアノサポートで行ってきた。
先月につづいて2度めとなる。
ところが昨日は、エントリー6組のうち3組がドタキャンしたということで、私も急きょ、みぞれちゃんのサポートとは別にソロピアノ演奏で参加することになった。
お客として遠方はるばる、ゼミ生のアズーが駆けつけてくれた。ありがとう。

午後8時、イベントスタート。
司会が今回から交代するということで、ユニークな爆笑トーク炸裂の男女ペア。
最初にこれまでの司会者だった人とシャンソン歌手の人がそれぞれシャンソンを歌う。
つづいて、オープンマイクにエントリーした人の演奏がはじまった。

ハーモニカと歌(ご高齢の方)、ユニークなオリジナルボイスでの弾き語り、パントマイムのような演劇のような反戦メッセージの女性のソロパフォーマンス(最後はヌードでびっくり)。
みぞれちゃんは前半のステージで、私の「Even If You Are My Enemy」をくれた。
私は即興ピアノ演奏で共演。
大変充実したパフォーマンスをやれたように思う。

ゲストの歌などがあって、私は後半のステージで演奏。
唱歌の「我は海の子」を即興演奏からはいって、最後はなんとなくスローな3拍子になって終わり。
司会の男性が私のピアノをとても気にいってくれたようだ。

このイベントは最後に、司会者やゲストが「この日もっとも心を動かしたパフォーマンス」を相談して決め、アンコール演奏をすることになっているのだが、そのアンコールに私が選ばれてびっくりした。
こういうものは事前に耳打ちくらいされて準備をするのかと思っていたが、本当にステージの最後に発表されて、なんの準備もしていなかったのでちょっとあわてた。
結局、オリジナル曲の「ヒガンバナ」を演奏させてもらった。
最後に選ばれたのも、みなさんにしっかりと聴いていただけたのも、うれしかった。
こういう機会を作ってくれたみぞれちゃんには感謝。

扇田拓也氏との合同ワークショップ、終了

昨日はカトリック下北沢教会のアトリエかまぼこ(元米軍かまぼこ兵舎)で、演劇と朗読のワークショップ「物語と自我」を、扇田拓也くんと合同で開催した。
初めての試みだ。

扇田くんは先日、てがみ座「空のハモニカ」の演出で多くの観客を魅了し喝采をあびたばかりの、新進気鋭の舞台演出家であり、みずからも役者として舞台やテレビに出演することもある人だ。
とても緻密で繊細なステージを作る人で、私の現代朗読の演出とは対極にあるといっていい。
まったくちがう手法と感性を持つふたりだが、何年か前から交流があり、今回、ぜひいっしょにワークショップをやってみよう、ということになったのだ。

午前10時スタート。
アトリエかまぼこは古いけれど落ち着いた空間で、定員20人のワークショップにはゆったりとしてちょうどいい感じ。
今回、ちょっとしたサプライズとして、扇田くんのサポートに「空のハモニカ」で金子みすずを主演した石村みかが駆けつけてくれたことがあって、うれしかった。
彼女も真剣に参加してくれ、ほかの参加者たちにもおおいに刺激になったのではないだろうか。

今回使ったのは、扇田くんも私もともに太宰治の「海」という短いテキストであることがあらかじめ決まっていた。
これを使って、まずふつうに輪読。
それから扇田くんがプランを示して、演劇的にこれをステージ表現に作りあげるにはどうしたらいいか、ふたつのグループに分かれてさっそく実践にはいっていった。

午前中はそれぞれのグループが自分たちがアイディアを出しあって、ステージプランを作る。
ランチ休憩をはさんで、午後はいよいよそのプランの実演作り。
演劇の経験者は少数で、「演じる」ということや演劇的な段取り作りの段階でかなり苦労している感じだった。
とはいえ、みんな楽しそう。

ひととおりそれぞれのグループが「海」を劇作品にしあげたところで、今度は私がそれを現代朗読のエチュードとして発展させながら、最終的にステージ表現にするプロセスを提供した。
演劇とはちがって、即興性のなかでひとりひとりの表現を全体融合させていく現代朗読の方法は、じつにシンプル。
ゼミ生が多かったこともあって、あっという間にステージパフォーマンスができあがってしまった。
ものの30分。

最終的にこの現代朗読の方法を、演劇プランと合体させることができるかどうか、いくつか試行錯誤してみたが、これは大変難しかった。
かんがえてみれば、いきなりこのような挑戦的な試みがうまくいくわけはないのだが、それでも可能性の片鱗と、なにより予期しないことが起こり、生まれつつあるという現場の感覚に、私はわくわくしっぱなしだった。
この試みは機会をつかまえてぜひ第2弾をやってみたいものだ。
扇田くんもきっとそう感じてくれているだろう。

物語と自我――演劇と朗読についての扇田拓也合同ワークショップ

自らも俳優であり、演出家でもある扇田拓也氏と現代朗読演出の水城ゆうが、合同で演劇と朗読のワークショップを開催します。

演劇と朗読の違い、あるいは共通性について興味のある方、そしてそれぞれの現状や先端的な表現に興味がある方には、非常に刺激的なワークショップとなるでしょう。
扇田氏は演劇の最先端の現場から、水城は現代朗読というあたらしいジャンルから、それぞれまったく違ったアプローチの演出方法を取るふたりが、ともに表現についてかんがえ、参加者たちといっしょに身体を動かしながら検証してみようというワークショップです。

◎日時:2013年8月24日(土)10:00-17:00
◎会場:カトリック世田谷教会 アトリエ(旧米軍かまぼこ兵舎)
  世田谷区北沢1丁目45−12
  小田急線/井の頭線 下北沢駅より徒歩6分
◎参加費:8,000円

◎主催:現代朗読協会

※詳細・お申込はこちら
 銀行(ゆうちょ)振込・クレジットカード決済が使えます。

【講師紹介】
扇田拓也。俳優、演出家。1976年、東京都生まれ。

日本大学芸術学部演劇学科中退。在学中に劇団「ヒンドゥー五千回」を旗揚げ。以降、全作品において脚本・演出を担当。多くの場合、自らも出演する。
ダックスープ所属。太鼓とラッパ。てがみ座「空のハモニカ」(脚本/長田育恵 演出/扇田拓也)@京都芸術センター(終了)/8/1〜4@座高円寺。
TVCM KIRIN澄みきり「カップル編」出演中。

水城ゆう。即興ピアニスト、小説家。1957年生まれ。
NPO法人現代朗読協会主宰、現代朗読協会オーガナイザー。
朗読と音楽による即興パフォーマンス活動を1985年から開始。また、1986年には職業作家としてデビューし、多くの商業小説(SF、ミステリー、冒険小説など)を出したが、現在は商業出版に距離を置き、朗読と音楽を中心とした音声表現の活動を軸としている。

音倉・怪談朗読「幽霊滝の第三夜」

2013年8月16日、下北沢のライブカフェ〈Com.Cafe 音倉〉でおこなわれた怪談のオープンマイクに現代朗読協会がゲスト出演しました。
朗読出演は野々宮卯妙、てんトコロ、山田みぞれ、宮本菜穂子、植森ケイ。
ピアノ演奏は水城ゆう。

演目は「幽霊滝の第三夜」。
小泉八雲の「幽霊滝」と夏目漱石「夢十夜」の第三夜を合体させて構成した作品です。

音倉・怪談朗読「幽霊滝の第三夜」

2013年8月16日、下北沢のライブカフェ〈Com.Cafe 音倉〉でおこなわれた怪談のオープンマイクに現代朗読協会がゲスト出演しました。
朗読出演は野々宮卯妙、てんトコロ、山田みぞれ、宮本菜穂子、植森ケイ。
ピアノ演奏は水城ゆう。

演目は「幽霊滝の第三夜」。
小泉八雲の「幽霊滝」と夏目漱石「夢十夜」の第三夜を合体させて構成した作品です。

げろきょネットライブ Vol.11 前半・晩衛/後半・KAT

2013年8月10日、羽根木の家で「げろきょネットライブ Vol.11」をUstream経由で配信しました。
録画が残っていますが、一部音声が欠落しているので、あらためてYouTubeで記録映像を配信します。

前半の朗読は晩衛、作品は知里幸惠「谷地の魔神が自ら歌った謡『ハリツクンナ』。
後半の朗読はKAT、作品は水城ゆう「夏の終わり、遊覧船に乗る」。
キーポード演奏は水城ゆう。

げろきょネットライブ Vol.11 前半・晩衛/後半・KAT

2013年8月10日、羽根木の家で「げろきょネットライブ Vol.11」をUstream経由で配信しました。
録画が残っていますが、一部音声が欠落しているので、あらためてYouTubeで記録映像を配信します。

前半の朗読は晩衛、作品は知里幸惠「谷地の魔神が自ら歌った謡『ハリツクンナ』。
後半の朗読はKAT、作品は水城ゆう「夏の終わり、遊覧船に乗る」。
キーポード演奏は水城ゆう。

音倉・怪談朗読ライブが終わった

昨日は下北沢のライブカフェ〈Com.Cafe 音倉〉でおこなわれた怪談のオープンマイクに現代朗読協会でゲスト出演してきた。

依然としてつづいている猛暑のなか、エアコンのない羽根木の家に出演者一同、午後3時に集合。
出演は野々宮卯妙、てんトコロ、山田みぞれ、宮本菜穂子、植森ケイ、そしてピアノの私。
暑いのにみんな元気。

野々宮とてんがさっそく、「お行儀のよいお朗読と口胡弓の伴奏」のパロディで遊びはじめた。
抱腹絶倒。
とくにてんの口胡弓は音だけ聴いていると下手な胡弓奏者よりよほど本物っぽい。
これ、ライブでやりたいけど、多くの人を怒らせてしまうだろうなあ(笑)。

軽く全体を流して確認。
今回の演目は「幽霊滝の第三夜」という、小泉八雲の「幽霊滝」と夏目漱石「夢十夜」の第三夜を合体させて構成した演目。
結局、今回の演目について、リハーサルは軽く2回のみ。
実質的にほぼぶっつけ本番。

ライブをなめているのではない。
逆で、即興性を大切にしている現代朗読では、リハーサルをやりすぎてなにかをなぞってしまうことを嫌っているからだ。
そのかわり、ひとりひとりは個別にみっちり読みこんだり、日常的に感受性や身体トレーニングを欠かさない。
フリージャズミュージシャンや即興舞踏家のありように近いかもしれない。

午後5時、下北沢の〈Com.Cafe 音倉〉にぞろぞろと歩いて向かう。
音倉ではステージの感触と音響の確認。
あとはなにもすることがないので、時間まで好きなことをしてすごす。

6時半、開場。
7時すぎ、開演。
げろきょ仲間ではずずこさんが駆けつけてくれた。
初の試みということでお客さんは少ないが、前半は朗読、怪談語り(野々宮も飛び入り)、ピアノ演奏とシャンソンなどもあった。

休憩をはさんで後半は我々のパフォーマンス。
シナリオはあるが、だれがどこをどう読むというのは最小限しか決めていない、即興的なパフォーマンス。
私の音楽ももちろん全編即興で、朗読のみんなとの濃密なコミュニケーションにそって進んでいく。
「いまここ」のマインドフルな感覚のなかで進む時間の楽しいのなんのって。
自分と出演者と観客に正直に、誠実に生きているという感覚そのものの濃厚な時間。

熱い拍手をいただいて終了。
ずずこさんからも熱烈な感想をいただいた。
それぞれ飲み物を注文して、乾杯。
メモ程度の簡易録画だったが、映像記録があるので、あらためてYouTubeで配信しよう。